約 2,800,431 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1917.html
ゆっくりアストロン対策 ゆっくりたちがアストロンを使うようになったという。 それを聞いたとき、俺は信じられなかった。 ゆっくりがアストロンを使えるわけがない、という意味ではない。 ここは幻想郷だ。饅頭が魔法を使ったって、不思議じゃない。 だが、俺が信じられないのはそこじゃなかった。 試しに愛用の杖を持参して、森へ行ってみることにした。 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってねー!」 「ゆっ!」 五分もしないうちに現れた。れいむ一家だ。 「ゆっくりしていってね!」 挨拶するれいむたちの前にしゃがんで、俺は聞いてみた。 「なあ、おまえたち。そんなにあっさり出てきちゃっていいの? 人間にいじめられるとは思わないの?」 「ゆふっ! そんなしんぱいはゆっくりなくなったよ! れいむたちは むてきのまほうをつかえるようになったよ!」 「うっそだ、そんなわけないだろう」 「ゆゆ、おにーさんはしんじないの? じゃあゆっくりやってみせるからね!」 そう言うと母れいむは、得意満面で唱えようとした。 「アスト「マホトーン」 俺のひとことで、れいむは沈黙した。口をパクパクさせるが、呪文が出てこない。 驚愕するそいつをしばらく見つめてから、俺はおもむろに指を突きつけ、言った。 「メラ」 ボッ! 火の玉が飛び、れいむの顔面を直撃した。 「ゆぎゃああああああ!! あづいあづいあづい、あづうぅぅぅい!」 もだえ苦しんだ挙句にれいむは死んだ。 残った子ゆっくりたちがガクガクブルブルしている。俺はそいつらにも指を向けた。 すると、中に一匹勇敢で機転のきくな奴がいて、とっさに叫んだ。 「ま、まほとーん!」 ギュッ、と喉が締め付けられる感触がした。 なんと、本当に魔法をかけられてしまった。なかなかやる饅頭だ。 が、俺は落ち着き払って背中の杖を取り出し、子れいむの頭上にかざした。 ピカッ! と閃光がひらめき、ズバババッ、と稲妻が子れいむたちをなぎ払った。 「ゆぎゅん!」 「ぐべえ!」 「あごっ!」 ぼぼぼん、と立て続けに爆発して子れいむたちは死んだ。 術者が死んだのでマホトーンが解けた。俺はため息を付いた。 「ふう……っていうか、別にこんなことしなくても、鉄化したら土に埋めちまえば済むことだよなあ……」 俺が信じられなかったのは、アストロン程度で無敵になったと思い込むゆっくりのアホさ加減だった。 しかし、ゆっくりはほんとに信じていた。さすがはゆっくりだと思い知らされた。 俺はいかずちの杖を背中に戻し、出しゃばってしまったことを反省しながら、村へ帰った。 アイアンマン これまでに書いた話 ゆっくりいじめ系1084 ゆっくり実験01 (まりさ解体) ゆっくりいじめ系1093 ゆっくりエレエレしてね! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1916.html
*警告* 特に何も悪いことをしていないゆっくりが永遠にゆっくりできなくなります。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 「いるかいー」 「あいとるよー」 ここは幻想郷の小さな村。村外れに一軒の鍛冶屋が店を開いていた。戦乱の世でもなけ れば、妖怪と戦う剣や槍を作るわけでもない。針に鋏、農具を作って糊口を凌いでいた。 「釜が抜けちまってねえ。一つ接いでおくれよ」 男の抱えてきた釜を受け取り、ためつすがめつ眺めると、鍛冶屋は得心したように頷いて 炉に火を入れた。小さな村であり、幻想郷に名の知れているわけでもない彼は、鋳掛屋の 仕事も多かった。 「おう、昼前には間に合わせとくよ」 「いつもすまんねえ」 「いいってことよ」 火が熾る間に、鍛冶屋は奥から小さな籠を提げて戻ってくる。どっこいしょ、と置いた籠 にはまだ小さな生まれたてのゆっくりが一匹、幸せそうな顔をしてゆっくりしていた。 「おじちゃん、あちゅいよー」 仕事場は炉の熱気でじっとしていても汗ばんでくるほど。ぽよぽよと跳ねるものの、ゆっ くりはまだ籠の縁を越えるほどの跳躍はこなせない。釜を炉にかけると、小さなゆっくり を掌に載せた。がっしり固くなったプロの手である。 「かちゃいよ! おじちゃんのおてて、ゆっきゅりできにゃいよ!」 「ほれ、お前さんも固くならないとゆっくりできなくなるぞ?」 ぶにぶにと柔らかなまんじゅうを、鍛冶屋はそのがっちりした指を食い込ませるように握 る。苦しそうに仔ゆっくりがもぞもぞ動くが、しっかり握られたその指は緩むどころか次 第にきつく締め付け、仔ゆっくりは握りつぶされそうな恐怖に涙を流す。だが、鍛冶屋は 釘を摘むと、ぷるぷるした仔ゆっくりの目玉にゆっくりと近づけていく。 「ゆゆゅ! こわいよ! ゆっくりやめてね!」 「ほれほれ、ゆっくりできなくなってしまうぞ?」 目を瞑れば目の前から釘が消えると信じ、目を閉じて打ち震える仔ゆっくりのまぶたを器 用に引き上げ、眼球に鋭い先端を突きつける。決して針先を柔らかな葛饅頭に突き立てる ことはなく、釘を摘む指には寸分の狂いもない。 「あちゅとろん! もうおじちゃんはいじめられないよ!」 「よしよし」 鍛冶屋は鉄の塊になった仔ゆっくりを年季のいったやっとこで掴んで、炉に突っ込む。 「ゆゆゆっ! あちゅいよ! ゆっくりだしてね!」 「もういじめられないんじゃないのかね?」 「ゆゆっ! あちゅくないよ!」 充分に熱せられた鉄ゆっくりを釜の穴にあてがう。鍛冶屋の見立て通り、ゆっくりは穴に すっぽりはまっていた。そのまま金床に乗せると、鎚を振り下ろす。 「そんなのきかないよ! ゆっくりあきらめてね!」 「人の心配より、固くなっていないと潰れやせんか?」 「ゆゅ! ゆっくりかたくなるよ!」 金属音と火花が散り、同時に場違いなゆっくりな悲鳴が跳ね上がるが、気にせず鍛冶屋は 鎚を振るう。鉄の塊となった仔ゆっくりは叩かれる痛みも、炉の熱さも感じない。穴の大 きさにあわせた仔ゆっくりだけに、アストロンの効果で鉄になっていることを忘れ、ゆっ くりして一瞬で潰れてしまうこともある。金物相手とは少し違う心配りも必要なのである。 「ゆぅん! ゆぅん! ゆっきゅり、ちてきた、よ!」 鍋の穴にはまった鉄ゆっくりを何度も叩いては平たくしていき、炉で熱しては再び成形し ていく。鉄饅頭となった本体とは異なり、細い鉄線になっている髪の毛は先に熱で熔けて、 仔ゆっくりと釜の間を埋めていく。鎚で叩かれ、炉で熱せられることを繰り返し、徐々に 仔ゆっくりは平たくなっていき、声も次第に小さくなっていく。通常のゆっくりであれば、 鎚の一打で餡子と皮を撒き散らして潰れてしまうものだが、アストロンで鉄の塊になった ゆっくりは、熔けて餡子であった鉄と、皮や飾りであった鉄が混ざりきるまでは息絶える ことはない。 「も……と……ゅ……り……た……か……」 やがて声もなくなった頃、釜の穴は見事に塞がった。アストロン中に息絶えたゆっくりの 鉄化は二度と解けることはない。使い古された道具は、時経て妖怪になるという。この釜 もいつかは妖怪になるのだろうか。ゆっくりで接いだ釜は、ゆっくりした妖怪になるのだ ろうか。ゆっくりしていってね! と声を上げる鍋や釜、ヤカンの百鬼夜行に、鍛冶屋は 口の端を釣り上げる。午後にはやかんになっているであろうゆっくりを選ぶため、奥へと 上がっていった鍛冶屋にいくつもの声が掛かる。 「ゆっくりしていってね!」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1482.html
*警告* 特に何も悪いことをしていないゆっくりが永遠にゆっくりできなくなります。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 「いるかいー」 「あいとるよー」 ここは幻想郷の小さな村。村外れに一軒の鍛冶屋が店を開いていた。戦乱の世でもなけ れば、妖怪と戦う剣や槍を作るわけでもない。針に鋏、農具を作って糊口を凌いでいた。 「釜が抜けちまってねえ。一つ接いでおくれよ」 男の抱えてきた釜を受け取り、ためつすがめつ眺めると、鍛冶屋は得心したように頷いて 炉に火を入れた。小さな村であり、幻想郷に名の知れているわけでもない彼は、鋳掛屋の 仕事も多かった。 「おう、昼前には間に合わせとくよ」 「いつもすまんねえ」 「いいってことよ」 火が熾る間に、鍛冶屋は奥から小さな籠を提げて戻ってくる。どっこいしょ、と置いた籠 にはまだ小さな生まれたてのゆっくりが一匹、幸せそうな顔をしてゆっくりしていた。 「おじちゃん、あちゅいよー」 仕事場は炉の熱気でじっとしていても汗ばんでくるほど。ぽよぽよと跳ねるものの、ゆっ くりはまだ籠の縁を越えるほどの跳躍はこなせない。釜を炉にかけると、小さなゆっくり を掌に載せた。がっしり固くなったプロの手である。 「かちゃいよ! おじちゃんのおてて、ゆっきゅりできにゃいよ!」 「ほれ、お前さんも固くならないとゆっくりできなくなるぞ?」 ぶにぶにと柔らかなまんじゅうを、鍛冶屋はそのがっちりした指を食い込ませるように握 る。苦しそうに仔ゆっくりがもぞもぞ動くが、しっかり握られたその指は緩むどころか次 第にきつく締め付け、仔ゆっくりは握りつぶされそうな恐怖に涙を流す。だが、鍛冶屋は 釘を摘むと、ぷるぷるした仔ゆっくりの目玉にゆっくりと近づけていく。 「ゆゆゅ! こわいよ! ゆっくりやめてね!」 「ほれほれ、ゆっくりできなくなってしまうぞ?」 目を瞑れば目の前から釘が消えると信じ、目を閉じて打ち震える仔ゆっくりのまぶたを器 用に引き上げ、眼球に鋭い先端を突きつける。決して針先を柔らかな葛饅頭に突き立てる ことはなく、釘を摘む指には寸分の狂いもない。 「あちゅとろん! もうおじちゃんはいじめられないよ!」 「よしよし」 鍛冶屋は鉄の塊になった仔ゆっくりを年季のいったやっとこで掴んで、炉に突っ込む。 「ゆゆゆっ! あちゅいよ! ゆっくりだしてね!」 「もういじめられないんじゃないのかね?」 「ゆゆっ! あちゅくないよ!」 充分に熱せられた鉄ゆっくりを釜の穴にあてがう。鍛冶屋の見立て通り、ゆっくりは穴に すっぽりはまっていた。そのまま金床に乗せると、鎚を振り下ろす。 「そんなのきかないよ! ゆっくりあきらめてね!」 「人の心配より、固くなっていないと潰れやせんか?」 「ゆゅ! ゆっくりかたくなるよ!」 金属音と火花が散り、同時に場違いなゆっくりな悲鳴が跳ね上がるが、気にせず鍛冶屋は 鎚を振るう。鉄の塊となった仔ゆっくりは叩かれる痛みも、炉の熱さも感じない。穴の大 きさにあわせた仔ゆっくりだけに、アストロンの効果で鉄になっていることを忘れ、ゆっ くりして一瞬で潰れてしまうこともある。金物相手とは少し違う心配りも必要なのである。 「ゆぅん! ゆぅん! ゆっきゅり、ちてきた、よ!」 鍋の穴にはまった鉄ゆっくりを何度も叩いては平たくしていき、炉で熱しては再び成形し ていく。鉄饅頭となった本体とは異なり、細い鉄線になっている髪の毛は先に熱で熔けて、 仔ゆっくりと釜の間を埋めていく。鎚で叩かれ、炉で熱せられることを繰り返し、徐々に 仔ゆっくりは平たくなっていき、声も次第に小さくなっていく。通常のゆっくりであれば、 鎚の一打で餡子と皮を撒き散らして潰れてしまうものだが、アストロンで鉄の塊になった ゆっくりは、熔けて餡子であった鉄と、皮や飾りであった鉄が混ざりきるまでは息絶える ことはない。 「も……と……ゅ……り……た……か……」 やがて声もなくなった頃、釜の穴は見事に塞がった。アストロン中に息絶えたゆっくりの 鉄化は二度と解けることはない。使い古された道具は、時経て妖怪になるという。この釜 もいつかは妖怪になるのだろうか。ゆっくりで接いだ釜は、ゆっくりした妖怪になるのだ ろうか。ゆっくりしていってね! と声を上げる鍋や釜、ヤカンの百鬼夜行に、鍛冶屋は 口の端を釣り上げる。午後にはやかんになっているであろうゆっくりを選ぶため、奥へと 上がっていった鍛冶屋にいくつもの声が掛かる。 「ゆっくりしていってね!」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1954.html
ゆっくりアストロン対策 ゆっくりたちがアストロンを使うようになったという。 それを聞いたとき、俺は信じられなかった。 ゆっくりがアストロンを使えるわけがない、という意味ではない。 ここは幻想郷だ。饅頭が魔法を使ったって、不思議じゃない。 だが、俺が信じられないのはそこじゃなかった。 試しに愛用の杖を持参して、森へ行ってみることにした。 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってねー!」 「ゆっ!」 五分もしないうちに現れた。れいむ一家だ。 「ゆっくりしていってね!」 挨拶するれいむたちの前にしゃがんで、俺は聞いてみた。 「なあ、おまえたち。そんなにあっさり出てきちゃっていいの? 人間にいじめられるとは思わないの?」 「ゆふっ! そんなしんぱいはゆっくりなくなったよ! れいむたちは むてきのまほうをつかえるようになったよ!」 「うっそだ、そんなわけないだろう」 「ゆゆ、おにーさんはしんじないの? じゃあゆっくりやってみせるからね!」 そう言うと母れいむは、得意満面で唱えようとした。 「アスト「マホトーン」 俺のひとことで、れいむは沈黙した。口をパクパクさせるが、呪文が出てこない。 驚愕するそいつをしばらく見つめてから、俺はおもむろに指を突きつけ、言った。 「メラ」 ボッ! 火の玉が飛び、れいむの顔面を直撃した。 「ゆぎゃああああああ!! あづいあづいあづい、あづうぅぅぅい!」 もだえ苦しんだ挙句にれいむは死んだ。 残った子ゆっくりたちがガクガクブルブルしている。俺はそいつらにも指を向けた。 すると、中に一匹勇敢で機転のきくな奴がいて、とっさに叫んだ。 「ま、まほとーん!」 ギュッ、と喉が締め付けられる感触がした。 なんと、本当に魔法をかけられてしまった。なかなかやる饅頭だ。 が、俺は落ち着き払って背中の杖を取り出し、子れいむの頭上にかざした。 ピカッ! と閃光がひらめき、ズバババッ、と稲妻が子れいむたちをなぎ払った。 「ゆぎゅん!」 「ぐべえ!」 「あごっ!」 ぼぼぼん、と立て続けに爆発して子れいむたちは死んだ。 術者が死んだのでマホトーンが解けた。俺はため息を付いた。 「ふう……っていうか、別にこんなことしなくても、鉄化したら土に埋めちまえば済むことだよなあ……」 俺が信じられなかったのは、アストロン程度で無敵になったと思い込むゆっくりのアホさ加減だった。 しかし、ゆっくりはほんとに信じていた。さすがはゆっくりだと思い知らされた。 俺はいかずちの杖を背中に戻し、出しゃばってしまったことを反省しながら、村へ帰った。 アイアンマン これまでに書いた話 ゆっくりいじめ系1084 ゆっくり実験01 (まりさ解体) ゆっくりいじめ系1093 ゆっくりエレエレしてね! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1033.html
*警告* 特に何も悪いことをしていないゆっくりが永遠にゆっくりできなくなります。 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。 ↓以下本文 「あいとるよー」 ここは幻想郷の小さな村。村外れに一軒の鍛冶屋が店を開いていた。戦乱の世でもなけ れば、妖怪と戦う剣や槍を作るわけでもない。針に鋏、農具を作って糊口を凌いでいた。 「釜が抜けちまってねえ。一つ接いでおくれよ」 男の抱えてきた釜を受け取り、ためつすがめつ眺めると、鍛冶屋は得心したように頷いて 炉に火を入れた。小さな村であり、幻想郷に名の知れているわけでもない彼は、鋳掛屋の 仕事も多かった。 「おう、昼前には間に合わせとくよ」 「いつもすまんねえ」 「いいってことよ」 火が熾る間に、鍛冶屋は奥から小さな籠を提げて戻ってくる。どっこいしょ、と置いた籠 にはまだ小さな生まれたてのゆっくりが一匹、幸せそうな顔をしてゆっくりしていた。 「おじちゃん、あちゅいよー」 仕事場は炉の熱気でじっとしていても汗ばんでくるほど。ぽよぽよと跳ねるものの、ゆっ くりはまだ籠の縁を越えるほどの跳躍はこなせない。釜を炉にかけると、小さなゆっくり を掌に載せた。がっしり固くなったプロの手である。 「かちゃいよ! おじちゃんのおてて、ゆっきゅりできにゃいよ!」 「ほれ、お前さんも固くならないとゆっくりできなくなるぞ?」 ぶにぶにと柔らかなまんじゅうを、鍛冶屋はそのがっちりした指を食い込ませるように握 る。苦しそうに仔ゆっくりがもぞもぞ動くが、しっかり握られたその指は緩むどころか次 第にきつく締め付け、仔ゆっくりは握りつぶされそうな恐怖に涙を流す。だが、鍛冶屋は 釘を摘むと、ぷるぷるした仔ゆっくりの目玉にゆっくりと近づけていく。 「ゆゆゅ! こわいよ! ゆっくりやめてね!」 「ほれほれ、ゆっくりできなくなってしまうぞ?」 目を瞑れば目の前から釘が消えると信じ、目を閉じて打ち震える仔ゆっくりのまぶたを器 用に引き上げ、眼球に鋭い先端を突きつける。決して針先を柔らかな葛饅頭に突き立てる ことはなく、釘を摘む指には寸分の狂いもない。 「あちゅとろん! もうおじちゃんはいじめられないよ!」 「よしよし」 鍛冶屋は鉄の塊になった仔ゆっくりを年季のいったやっとこで掴んで、炉に突っ込む。 「ゆゆゆっ! あちゅいよ! ゆっくりだしてね!」 「もういじめられないんじゃないのかね?」 「ゆゆっ! あちゅくないよ!」 充分に熱せられた鉄ゆっくりを釜の穴にあてがう。鍛冶屋の見立て通り、ゆっくりは穴に すっぽりはまっていた。そのまま金床に乗せると、鎚を振り下ろす。 「そんなのきかないよ! ゆっくりあきらめてね!」 「人の心配より、固くなっていないと潰れやせんか?」 「ゆゅ! ゆっくりかたくなるよ!」 金属音と火花が散り、同時に場違いなゆっくりな悲鳴が跳ね上がるが、気にせず鍛冶屋は 鎚を振るう。鉄の塊となった仔ゆっくりは叩かれる痛みも、炉の熱さも感じない。穴の大 きさにあわせた仔ゆっくりだけに、アストロンの効果で鉄になっていることを忘れ、ゆっ くりして一瞬で潰れてしまうこともある。金物相手とは少し違う心配りも必要なのである。 「ゆぅん! ゆぅん! ゆっきゅり、ちてきた、よ!」 鍋の穴にはまった鉄ゆっくりを何度も叩いては平たくしていき、炉で熱しては再び成形し ていく。鉄饅頭となった本体とは異なり、細い鉄線になっている髪の毛は先に熱で熔けて、 仔ゆっくりと釜の間を埋めていく。鎚で叩かれ、炉で熱せられることを繰り返し、徐々に 仔ゆっくりは平たくなっていき、声も次第に小さくなっていく。通常のゆっくりであれば、 鎚の一打で餡子と皮を撒き散らして潰れてしまうものだが、アストロンで鉄の塊になった ゆっくりは、熔けて餡子であった鉄と、皮や飾りであった鉄が混ざりきるまでは息絶える ことはない。 「も……と……ゅ……り……た……か……」 やがて声もなくなった頃、釜の穴は見事に塞がった。アストロン中に息絶えたゆっくりの 鉄化は二度と解けることはない。使い古された道具は、時経て妖怪になるという。この釜 もいつかは妖怪になるのだろうか。ゆっくりで接いだ釜は、ゆっくりした妖怪になるのだ ろうか。ゆっくりしていってね! と声を上げる鍋や釜、ヤカンの百鬼夜行に、鍛冶屋は 口の端を釣り上げる。午後にはやかんになっているであろうゆっくりを選ぶため、奥へと 上がっていった鍛冶屋にいくつもの声が掛かる。 「ゆっくりしていってね!」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1034.html
ゆっくりアストロン対策 ゆっくりたちがアストロンを使うようになったという。 それを聞いたとき、俺は信じられなかった。 ゆっくりがアストロンを使えるわけがない、という意味ではない。 ここは幻想郷だ。饅頭が魔法を使ったって、不思議じゃない。 だが、俺が信じられないのはそこじゃなかった。 試しに愛用の杖を持参して、森へ行ってみることにした。 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってねー!」 「ゆっ!」 五分もしないうちに現れた。れいむ一家だ。 「ゆっくりしていってね!」 挨拶するれいむたちの前にしゃがんで、俺は聞いてみた。 「なあ、おまえたち。そんなにあっさり出てきちゃっていいの? 人間にいじめられるとは思わないの?」 「ゆふっ! そんなしんぱいはゆっくりなくなったよ! れいむたちは むてきのまほうをつかえるようになったよ!」 「うっそだ、そんなわけないだろう」 「ゆゆ、おにーさんはしんじないの? じゃあゆっくりやってみせるからね!」 そう言うと母れいむは、得意満面で唱えようとした。 「アスト「マホトーン」 俺のひとことで、れいむは沈黙した。口をパクパクさせるが、呪文が出てこない。 驚愕するそいつをしばらく見つめてから、俺はおもむろに指を突きつけ、言った。 「メラ」 ボッ! 火の玉が飛び、れいむの顔面を直撃した。 「ゆぎゃああああああ!! あづいあづいあづい、あづうぅぅぅい!」 もだえ苦しんだ挙句にれいむは死んだ。 残った子ゆっくりたちがガクガクブルブルしている。俺はそいつらにも指を向けた。 すると、中に一匹勇敢で機転のきくな奴がいて、とっさに叫んだ。 「ま、まほとーん!」 ギュッ、と喉が締め付けられる感触がした。 なんと、本当に魔法をかけられてしまった。なかなかやる饅頭だ。 が、俺は落ち着き払って背中の杖を取り出し、子れいむの頭上にかざした。 ピカッ! と閃光がひらめき、ズバババッ、と稲妻が子れいむたちをなぎ払った。 「ゆぎゅん!」 「ぐべえ!」 「あごっ!」 ぼぼぼん、と立て続けに爆発して子れいむたちは死んだ。 術者が死んだのでマホトーンが解けた。俺はため息を付いた。 「ふう……っていうか、別にこんなことしなくても、鉄化したら土に埋めちまえば済むことだよなあ……」 俺が信じられなかったのは、アストロン程度で無敵になったと思い込むゆっくりのアホさ加減だった。 しかし、ゆっくりはほんとに信じていた。さすがはゆっくりだと思い知らされた。 俺はいかずちの杖を背中に戻し、出しゃばってしまったことを反省しながら、村へ帰った。 アイアンマン これまでに書いた話 ゆっくりいじめ系1084 ゆっくり実験01 (まりさ解体) ゆっくりいじめ系1093 ゆっくりエレエレしてね! このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2801.html
同居しているれいむに以前から疑問に思っていたことを聞いてみた。 「なぁれいむ。」 「なぁにおにいさん。」 「お前らって体を鉄にすることができるの?」 「ゆ、ゆぅ…まぁ、できることはできるよ。てつになろうっておもって、「あすとろん!」ってさけぶとなれるよ。」 「へぇ。人間は鉄になれないんだけど、やっぱ鉄になると痛いとかなくなるのかね。」 「れいむはわからないけど、ゆっくりなんにもかんじなくなるらしいよ。」 「お前やったことないんだ。でも何も感じないならさ、 俺がいつもをこんにゃくでひっぱたいたりする愛のスキンシップを嫌がるけど、 お前そのときは鉄になればいいんじゃないの?何でやらないんだ?」 「ゆぅ…その、なれることはなれるんだけど…」 その時玄関から声が聞こえてきた。 「ゆっくりこんにちはなのぜー!れいむはいるのぜー?」 「あ!まりさだ!れいむはまりさとゆっくりあそびにいくね!」 「あ、うん。いってらっしゃい。」 いい所で話を聞きそびれてしまった。続きが気になる。 と、いいところで先のれいむの小さい妹であるちびれいむがやってきた。 「ゆぅ、ゆっきゅりおねんねしすぎちゃ!。」 「おはよう。もう昼だけどな。」 ちょうどいいや、こいつに聞こう。 「なぁれいむ、お前らあすとろん!って叫ぶと鉄になれるらしいな。ホント?」 「ゆ!きいたことはあるにょ!でもつかっちゃだめっていわれちゃよ!」 「何で使っちゃダメなんだ?」 「ゆっきゅりわきゃんにゃい!ゆっきゅりわしゅれちゃよ!」 …まぁ切り札だからかんたんに手の内は見せないってことなのかなぁ。でもまぁ家にいる間はやばいこともないし、別にいいじゃん。俺は別に敵でもないぜ?コンニャクでしばくけどな。 「なぁれいむ、ちょっとお前やってみてくれない?見てみたいんだ」 「えぇー、ゆっきゅりきょわいよー。」 「ゆっくりのかっこいいところみたいんだよ、な?」 「ゆ!きゃっこいい?!わきゃった!ゆっくりてつになりゅよ!! ゆうううう!あしゅちょろん!!」 そう叫ぶとちびれいむは光沢のあるメタルグレーのボディに変化した。手に持ってみるとひんやりとした感触と饅頭とは比較にならない重量感が伝わる。あんだけうるさくてぷるぷる動いていたゆっくりも、いまやピクリとも動かない。噂は本当だったのか…。 「オーケーわかった、本当だったんだな。ありがとうちびれいむ、もう戻っていいよ。」 「…。」 あれ? 「ちびれいむちゃーん、もういいよー。戻っていいよー。」 「…。」 …何も感じないっていうから、聞こえてないのかな。まぁじき痺れを切らせてに戻るだろう。 ─数時間後 「…。」 …まだ鉄のままだ。あすとろん!すると気も長くなるのかなぁ。まぁゆっくりだからゆっくりしてるのも当然… 「ゆっくりかえってきたよ!!!」 お、れいむが帰ってきたようだ。 「おいれいむ、お前の妹が鉄に…」 「?!…あ、あすとろんしちゃったのの!!!」 「…あれ?マズかった?」 「ゆっくりまずいよ!!!あすとろん!するとてつにはなるけど、もどれないんだよ!!!」 「え!?え、そ、それじゃ意味ないんじゃ…。」 「だがらやっぢゃだめなのおおおお!!!ちびちゃんにもゆっぐりぞういっだのにいいいいい!!!」 や、ヤベェ。どうしよ。 「どぼじでごんなごとにいいいいいいいいいい!!!ゆっぐりもどっでねええええええ!!!」 …まさか俺がやれっていったとは言えない…。 泣き叫ぶ姉れいむとものすごく気まずい俺をよそに、元ちびれいむだった鉄の塊は涼しいゆっくりフェイスのままだった。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1914.html
いろいろと経緯は省略するが、俺の目の前にゆっくり霊夢の一家がいる。 もちろんグチュグチュして楽しむために見つけたものだ。 「ゆゆ!おにいさんやめてね! あかちゃんたちはれいむがまもるよ!」 ぷりぷり怒ったバカ親が、頭の悪さ全開で威嚇をしていた。 その背後には5匹ほどの赤ゆっくりがいる。 まりさ種とれいむ種がいるのだが、親れいむのパートナーはいない。 どうせ、くだらないことで死んだのだろう。 「うっせーわボケナスが! お前ら二度とゆっくりでなくしてやるぜえっ!」 たまには親を先に殺して赤ゆっくり共を嬲ってやろう。 そう思って拳を振り落とした。 が。 「いでえええ!!」 拳には、やわらかい皮ではなく、硬くて重い鉄の反発が返ってきた。 「ゆー!さしゅがおかーしゃん!」 「さしゅがだね!」 「おかーさんはゆっくちちてるね!」 よく見ると、さっきまで普通のゆっくりだったれいむが、灰色になっていた。 交尾で力尽きたのとは違う。 まるで鉄の塊だ。 しばらく見ていると、まるで氷が解けるかのようにれいむは元の色に戻った。 「ゆゆ!アストロンだよ!おにいさんなんかぜんぜんこわくないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ア・・・アストロンだと・・・っ!?」 アストロン。 要するに、鉄化して相手の攻撃を受け付けないようにする魔法だ。 このれいむはアストロンを使えるらしい。 糞生意気にも。 「ゆゆ!あかちゃんたちにもアストロンだよ!ゆっくりかたまってね!」 れいむが赤ちゃん達に振り返ると、瞬く間に赤ゆっくり5匹が鉄の塊になってしまった。 「ゆふ!これでおにいさんはあかちゃんたちをいじめられないよ!ゆふふ!」 得意気な顔で笑うれいむがムカついた。 なのでバッグからハンマーを取り出すことにする。 「ゆ?そんなのいみがないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「うるせーボケが!ぶっ潰したるわ!」 ガンガンガン。 金属を叩く音が辺りに響く。 だが、赤ゆっくりは既に鉄の塊。 まるで形が変わらない。 「ゆふ!あたまのわるいおにいさんだね!ゆっくりあきらめてね!」 その言葉に腹が立った俺はさらにハンマーを振った。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 叩いていたのは、鉄製赤れいむ。 それがだんだんと形を変えてきた。 ハンバーグのようになり、横に広がる。 さらに叩き続けると、CDくらいにまで延びた。 「ゆぁあああああ!!!?れいむのあがぢゃんがぺらぺらになっぢゃっだぁああ!?」 もはや赤ちゃんというか、鉄のCDとなったものに泣きつくれいむ。 俺はそんなれいむを蹴とばし、残った4匹の鉄製赤ゆっくりを泉に入れた。 「アストロンがとけたら、みんな死んじゃうね!ゆっくりしんでね!」 バカみたいに騒ぐれいむをおいて、おれは家に帰った。 今度はハンダゴテでも持っていこうかな。 おわり。 ぼくのさいきょーのゆっくりを書きたかった。 今は反省している。 作:ユユー このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/865.html
いろいろと経緯は省略するが、俺の目の前にゆっくり霊夢の一家がいる。 もちろんグチュグチュして楽しむために見つけたものだ。 「ゆゆ!おにいさんやめてね! あかちゃんたちはれいむがまもるよ!」 ぷりぷり怒ったバカ親が、頭の悪さ全開で威嚇をしていた。 その背後には5匹ほどの赤ゆっくりがいる。 まりさ種とれいむ種がいるのだが、親れいむのパートナーはいない。 どうせ、くだらないことで死んだのだろう。 「うっせーわボケナスが! お前ら二度とゆっくりでなくしてやるぜえっ!」 たまには親を先に殺して赤ゆっくり共を嬲ってやろう。 そう思って拳を振り落とした。 が。 「いでえええ!!」 拳には、やわらかい皮ではなく、硬くて重い鉄の反発が返ってきた。 「ゆー!さしゅがおかーしゃん!」 「さしゅがだね!」 「おかーさんはゆっくちちてるね!」 よく見ると、さっきまで普通のゆっくりだったれいむが、灰色になっていた。 交尾で力尽きたのとは違う。 まるで鉄の塊だ。 しばらく見ていると、まるで氷が解けるかのようにれいむは元の色に戻った。 「ゆゆ!アストロンだよ!おにいさんなんかぜんぜんこわくないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ア・・・アストロンだと・・・っ!?」 アストロン。 要するに、鉄化して相手の攻撃を受け付けないようにする魔法だ。 このれいむはアストロンを使えるらしい。 糞生意気にも。 「ゆゆ!あかちゃんたちにもアストロンだよ!ゆっくりかたまってね!」 れいむが赤ちゃん達に振り返ると、瞬く間に赤ゆっくり5匹が鉄の塊になってしまった。 「ゆふ!これでおにいさんはあかちゃんたちをいじめられないよ!ゆふふ!」 得意気な顔で笑うれいむがムカついた。 なのでバッグからハンマーを取り出すことにする。 「ゆ?そんなのいみがないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「うるせーボケが!ぶっ潰したるわ!」 ガンガンガン。 金属を叩く音が辺りに響く。 だが、赤ゆっくりは既に鉄の塊。 まるで形が変わらない。 「ゆふ!あたまのわるいおにいさんだね!ゆっくりあきらめてね!」 その言葉に腹が立った俺はさらにハンマーを振った。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 ガンガンガン。 叩いていたのは、鉄製赤れいむ。 それがだんだんと形を変えてきた。 ハンバーグのようになり、横に広がる。 さらに叩き続けると、CDくらいにまで延びた。 「ゆぁあああああ!!!?れいむのあがぢゃんがぺらぺらになっぢゃっだぁああ!?」 もはや赤ちゃんというか、鉄のCDとなったものに泣きつくれいむ。 俺はそんなれいむを蹴とばし、残った4匹の鉄製赤ゆっくりを泉に入れた。 「アストロンがとけたら、みんな死んじゃうね!ゆっくりしんでね!」 バカみたいに騒ぐれいむをおいて、おれは家に帰った。 今度はハンダゴテでも持っていこうかな。 おわり。 ぼくのさいきょーのゆっくりを書きたかった。 今は反省している。 作:ユユー このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2950.html
『アストロン・シザーズその1』 18KB 制裁 パロディ 自業自得 差別・格差 仲違い 嫉妬 妬み 誤解 二次創作 戦闘 駆除 群れ ゲス ドスまりさ 希少種 現代 創作亜種 独自設定 厨二病全開のクレイモア・ゆんシリーズとなります 注意 1.毎度おなじみ、クレイモア・ゆんシリーズです 2.でも、大尉や中尉の出番なしです 3.今回、虐待要素は皆無 。 4.人間イジメっぽい描写有ります 5.パロディ要素テンコ盛りです 6.チート要素が盛り込まれています。 以上の事を踏まえて、ゆっくりしていってね!! YWAT―――対ゆっくり殲滅部隊として結成された組織で、その容赦のなさは、愛護派団体の間では、悪名として知られている。 事件を起こせば、金バッチまたは愛護派を巻き込んで、即殲滅するYWAT第一部隊<クレイモア・ゆん>。 西日本を担当し、事件を起こさずとも、ゆっくり達が、事件を起こすよう誘導し、殲滅するYWAT第二部隊<べリアル・サイス>。 一般的には、<クレイモア・ゆん>と<べリアル・サイス>の二部隊はよく知られているが、YWATには、その二部隊の影に隠れがちな部隊が、もう一つ存在する。 それが、東日本を担当し、希少種保護地域やその近隣の山村が、ゆっくりによる災害―――通称:ゆん災を受けた際に、その被害地域の復興を任務とするYWAT第三部隊にして、通称―――。 アストロン・シザーズ その1 「んふふ…久しぶりの任務ですね、皆さん」 「近頃は、クレイモア・ゆんや、べリアル・サイスが頑張ってるようですし、こちらも負けて、いられませんね」 ふっくらとした分厚い唇とその厳つい体つきに似つかわしくない口調の男と、足に障害があるのか車椅子に乗った、おっとりとした顔立ちの青年―――YWAT第三部隊の隊長と副隊長は、数十匹の胴付き隊員達に、楽しそうに笑みを浮かべた。 「でも、<将軍>、<軍師>、…任務っても、また、荒らされた畑を直すのと、保護地域の定期視察だけだよね…二足三文で…」 「我らとしては、不満極まりないがな」 「…最近だと、お祭り部隊なんて、陰口叩かれているみたいですし」 「誰かがやらないといけない仕事を押し付けられたという感じですね…」 しかし、隊長こと、通称<将軍>と副隊長こと、通称<軍師>に対し、ぬえ、ひじり、なずりーん、しょう―――副官である四匹の胴付きゆっくり達の表情はさえなかった。 実際、任務に戦闘行動が常となっているクレイモア・ゆんやべリアル・サイスに比べ、アストロン・シザーズの任務活動は、自治団体や役所が担当すべき面倒な仕事を任されることが多かった。 つまるところ、役所や自治体が、誰もやらない―――やりたくない仕事を押し付ける為に、アストロンシザーズが結成されたというのが、本音だった。 「ココココ…良いじゃないですか。いずれ、誰かがやらないといけない仕事があるなら、引き受けるのが、我が隊の隊訓ですからね」 「ええ、そうして、皆さんに喜ばれるのなら、遣り甲斐がありますし」 だが、そういった仕事をやることに、将軍と軍師は、決して腐ることなく、誇りを持っていた。 「それに…今回は、何やら、事情が複雑そうですしね」 今回、アストロンシザーズが赴いたのは、ある山村からの調査依頼のためだった。 その山村は、数ヶ月前に、希少種保護指定地域指定された山に隣接する村で、近隣には、大きな川を隔てた先に、隣山があり、その隣山には、昔から、ドスの群れが住み着いていた。 調査依頼書によれば、ここ3ヶ月間に村の畑が知らぬ間に荒らる事が頻発していると書かれていた。 当初は、ドスの群れに属するゆっくり達の仕業ではと思われたが、大きな川を隔てていることやゆっくり達の移動距離の問題から、事件とは無関係と判断された。 希少種保護指定地域のゆっくり達についても、保護地域の管理官達からの証言で、村に近づいたゆっくりがいなかったことが証明された。 そこで、事態を解決する為に、この村の村長の連絡を受け、アストロンシザーズが、村に赴く事になったのだ。 「んふ…さて、早速到着したわけですが…」 将軍達が、村に到着して、まず、目にしたのは、喰い散らかされた野菜が散乱した畑だった。 見たところ、一口かじっただけで、その場に放置されている野菜もあり、猿や猪といった野生動物の仕業ではないとすぐさま、判断で来た。 明らかに、ゆっくりによるものだった。 「これは、予想以上にひどいですね」 「ええ。なずさん、早速ですが、あなたの部下と一緒に、調査をお願いしますね」 「はっ!!了解しました!!」 顔しかめる<軍師>に頷き、<将軍>は、早速、副官であるなずりーんに、畑以外の場所についての村での被害状況と目撃証言を得る為に、調査に向かわせた。 すぐさま、なずりーんも、部下の肩に乗せられ、部下を引き連れて、村の方へと駆け出して行った。 「しょうさんとひじりさんは、あなた達の部下と一緒に、荒らされた畑の被害状況を見てください。それと、喰い荒らされた野菜の回収も忘れずに、こちらで、買い取りましょう」 「は、はい!!」 「うむ、分かった」 次に、将軍は、しょうとひじりに、上に、ゆん災による炎上を申請する為の、被害状況の調査と、野菜くずの回収を指示した。 こういった、ゆっくりによって、喰い荒らされた野菜は、アストロン・シザーズで買い取り、YWATに所属する胴付き隊員達の食料に賄われるのだ。 「さて、ぬえさんですが…おや?」 最後に、残ったぬえに指示を出そうとした将軍だったが、すでに、ぬえの姿はなかった。将軍がひじり達に指示を出した時には、ぬえは、車椅子に乗った軍師と共に、部下を引き連れて、ドスの群れがあるという隣山へと向かった後だった。 「んふふふふ…さすがに仕事が早いですねぇ」 人の話を聞かないのが、玉に傷ですけどね―――そう笑いながら、将軍は、ぬえ達を見送った後、挨拶の為に、村長宅へと向かった。 翌日、将軍は、畑荒らしの手掛かりと素行調査を兼ねて、ドスから最近の群れの状況について尋ねる為、村長からの紹介で、隣山の、ドスの群れが住む洞窟に、向かった。 隣山へと赴いた将軍が群れのゆっくり達がいる洞窟へと赴くと、一匹のゆっくりが、将軍を待っていた。 「はじめまして、にんげんどの。まえのおさがむれをおさめていたころ、むれのふくりーだーをやっていたけーねだ。いまは、きしょうしゅたちのまとめやくをやっている」 「どうも、はじめまして、けーねさん。おや?ドスは、来ていないのですか?」 さすがに先代ドスの副リーダーを務めていたこともあり、丁寧にお辞儀をするけーねに、将軍も、先代ドスの教育に感心しつつ、礼を返した。 とここで、将軍は、村長からの紹介通りなら、この場にいるはずの、現在の群れの長であるドスが、いない事に気が付いた。 「その、ドスは…いまのおさは、ドスになりたてで…」 「ココココ…構いません。若いドスは、何かとプライドの高いゆっくりですから。私のような、人間ごときに、直接会うまでも、無いという事でしょう」 「も、もうしわけない…あとで、ちゅういしておくので…」 「いえいえ、かまいませんよぉ。慣れていますから」 将軍の問いに、けーねは、ドスの不在について、しどろもどろに喋りながら、申し訳なさそうに、顔を伏せて、謝った。 対する将軍は、経験上、恐らくこうなる事を予測していたので、怒ることなく、長の不在に謝罪するけーねを宥めた。 たいていの場合、群れの長になったばかりの、若いドスというのは、自身の能力を過剰評価し、人間に対する恐怖心や警戒心というものが、極めて低いのだ。 「それにしても、先ほど、村にある寺の方に窺わせてもらいましたが、立派な石碑が建てられていましたね」 「ああ、あれは、にんげんさんが、まえのむれのおさのためにつくった、おはかさんなんだ。まえのおさもどすだったんだが、ふつうしゅ、きしょうしゅわけへだてなく、ゆっくりさせてくれた。ごはんさんをとりすぎたり、にんげんさんのはたけをあらさないように、おきてをつくって、にんげんさんとも、なかよくしていたんだ」 「ココココ…なるほど、立派な長だったのですねぇ」 けーねの説明を聞いた将軍は、寺で見つけた石碑について、住職に、その習わしを教えられた時の事を思い出した。 何でも、3年前、大規模な土砂崩れで、町へと続く道が塞がれ、電話も通じず、連絡を取る事さえできなくり、村が陸の孤島と化した事があったそうだ。 その際に、村の危機を聞いた先代ドスが、地盤の緩んだ土砂崩れがいつ起こってもおかしくない状況の中、何十キロもの山道を、休むことなく。跳びはねながら、近くの町まで、助けを呼びに行ってくれたのだ。 これにより、先代ドスのあんよは、歩く事さえままならない程、ボロボロになったが、おかげで、町からの救援を呼ぶ事が出来、村の被害は最小限に食い止められたのだ。 以来、当時の村人達は、勇敢な先代ドスの為に、隣山を、群れの住処として提供し、先代ドスが亡くなった時には、村人総出で、葬儀を行い、あの石碑を建てたというのだ。 最初は、眉唾物の話だったが、けーねの熱心な語りぶりを聞き、将軍は、優秀な先代ドスが慕われている理由を知り、なるほどと納得した。 「そう言えば、けーねさん…ここ、最近、あなたの群れで、妙な事はおこっていませんか?例えば…そうゆっくり達の間で、妙な行動などは?」 「みょうな…いや、なにも…。あ、そういえば、ここのところ、むれにいるふつうしゅたちのようすがへんなんだ…」 「変?」 とここで、将軍は、畑荒らしについての何か知っていないか、探りを入れる為に、けーねに最近の群れの様子について、尋ねる事にした。 突然の問いに、首を傾げるけーねだったが、最近になって見かけた群れのゆっくり達の奇妙な行動について話し出した。 「けーねたち、きしょうしゅはさいきんになって、ドスからべつのところですむよういわれて、さいきんのむれのようすは、わからないのだが、むれのふつうしゅたちが、ゆうがたにどこかへかりにいくのをみたゆっくりがいたはずだ」 「夕方…」 「このやまには、れみりゃはいないが、いちおう、ちゅういだけはうながしているんだが…ふつうしゅのなかには、ひがしずむまで、ねていることがおおくなったし」 「なるほど…」 けーねから、昼夜逆転の生活を行う普通種達の事を聞きだした将軍は、顎に手を当てると、静かにうなずいた。 確実な証拠がない以上、憶測では判断できないが、どうやら、若ドス達が、群れの希少種達を追い出したのには、群れの希少種達には知られたくない隠しごとがあるようだ。 「なるほど、分かりました…では、また、何かあったら、よろしくお願いします」 「ああ…わかったよ、にんげんさん」 とはいえ、結論をすぐに出すわけにはいかず、ここでの情報収集を完了したと判断し、将軍は、けーねに別れを告げると、その場を後にした。 その後、村に戻ってきた将軍であったが、村にはいると、何やら、バットや鍬を持った数人の村人と、必死になって村人達を宥めようとするしょう達に出くわした。 「おやぁ、何の騒ぎですかぁ?」 「あ、将軍…ちょっと人間さん達が、希少種保護指定地域に通せと、押しかけてきたんです!!」 一瞬即発の状況にもかかわらず、のんきにしょうに尋ねる将軍に対し、しょうは、涙目になりながら、将軍に助けを求めた。 とここで、押しかけていた村人達の内、リーダー格らしき男が、将軍の前に出てきた。 「おい、あんたが、ここの責任者だな。さっさと、あんたの部下共を退かしてくれよ」 「んふふふふ…どうしてですかぁ?」 リーダー格の男は、相手を威嚇する、剣呑な表情を浮かべながら、将軍にしょう達を退かせるよう要求した。 それに対し、将軍は、笑みを浮かべながら、とぼけた様に尋ねるが、ふざけていると受け止められたのか、返って、村人達を激昂させることになった。 「決まってるだろ!!村の畑を荒らした糞饅頭どもを駆除する為だよ!!」 「お役人が当てにならない以上、俺らで何とかするしかねぇだろ!!」 「村の問題は、俺達、村のもので解決するのが筋だろ!!」 「それに、隣の山のゆっくり達に無理なら、もう犯人は、ここしかいねぇだろ!!だから、さっさとどかねぇと、こっちも…」 村人達は、畑荒らしの鬱憤も相まって、口々に不満をもらしながら、保護指定地域に押し入ろうと、将軍に詰め寄った。 そして、リーダー格の男が、拳を握りしめ、力づくでも通してもらうぞと、将軍の肩を掴んだ瞬間――― 「嫌です(ドンっ!!」 「へ?ぶひぇえええええええ!!ぐぐぜぇええええええええ!!」 ―――将軍は、何のためらいもなく、リーダー格の男を、ドンと、蹴飛ばした。 突然の事に、思わず呆けた顔をするリーダー格の男であったが、勢いよく頭から肥溜に突っ込み、全身汚物まみれになりながら、慌てて、肥溜から飛び出してきた。 「て、てめぇ…な、何しやがる!!」 「何って、国の保護地域を荒らそうとした暴徒を鎮圧したんですよ、鎮圧。それに、まだ、希少種保護指定地域に住むゆっくり達が、犯人だという証拠はありませんしね」 「だ、だけど…!?」 予想外の展開に、思わずたじろぐ村人達であったが、こちらに非はまるでないと、いわんばかりに、将軍は動ずることなく、平然と答えた。 なおも、口ごもる村人達であったが、将軍の眼を見た瞬間、言葉を失った。 「もし、これ以上、駄々をこねるのでしたら、こちらも、法に則り、些か手荒い真似をしなければなりませんが…どうしますぅ?」 将軍の顔は、少々オカマが入っているものの、丁寧な口調で、表情は笑みを浮かべていた。 だが、眼だけは違っていた―――些かではなく、容赦なく叩き潰すという本気の眼だった。 そして、将軍の殺気に押され、すっかり意気消沈した村人達であったが、肥溜に蹴飛ばされたリーダー格の男が、肥溜から這い出ると、萎縮する村人達に背を向けて、呟いた。 「…帰るぞ」 「お、おい…良いのかよ…?」 「お役人どもに任せるしかないだろ…ただ、解決できなけりゃ、責任はきっちり取ってもらうからな!!」 戸惑う村人達をしり目に、リーダー格の男は、自分を肥溜に蹴飛ばし将軍に対し、忌々しげに、捨て台詞を吐き捨てると、逃げるように、その場から去って行った。 そして、残された村人達も、不満そうな顔をしながら、すごすごと、その場を後にした。 「ココココ…血気盛んですね。まぁ、いたしかたないと言えば、仕方ないのですがね」 一先ず、村人達の暴走を最小限の犠牲で押しとどめた将軍は、少し笑いながら、やれやれとため息をついた。 「ドス、どうして、にんげんさんにあいにいかなかったんだ!!にんげんさんに、しつれいじゃないか!!」 あの後、将軍が帰ってから、日が落ちる頃になってようやく、巣に戻ってきた若ドスに対し、けーねは、傲慢な若ドスの態度に、怒りをあらわにした。 それに対し、若ドスはうるさそうに、溜息をつきながら、うんざりした顔で、けーねを睨みつけた。 「ゆう、うるさいよ、けーね…ドスは、むれのおさになったばかりなんだよ。むれのみんなをゆっくりさせなきゃいけないんだよ。にんげんさんにかかわってるひまは、ないんだよ」 「そのために、にんげんさんをおこらせないのがだいじなんだ!!まえのおさだって、そうやっていたから、このやまにすむことをゆるされたんじゃ…」 若ドスにとって、群れのゆっくり達をゆっくりさせる事が大事であり、ゆっくりしていない人間などどうでもいいと、言わんばかりの態度で、反論した。 しかし、先代ドスとともに、村の人間達との交流してきたけーねにとって、人間達との関係を悪化させない事が、何よりも大事なことなんだと、若ドスに分かってもらうために、言葉を続けようとした。 「むきゅ!!そこまでよ、けーね!!」 「ぱちゅりー…」 しかし、それは、一匹のぱちゅりー―――かつて、けーねと共に副リーダーを務めたぱちゅりーの子供である若ぱちゅりーによって遮られた。 若ぱちゅりーは、疎ましげに、けーねに詰め寄ると、大きな声で、けーねを詰った。 「たしかに、まえのおさのやりかたで、むれははんえいしたわ。でも、いまのむれのおさは、ドスよ!!ドスには、ドスのやりかたがあるのだから、もとふくりーだーのけーねが、くちをだすのはしつれいよ!!」 「だけど…!!」 「おはなしは、おわりだよ、けーね。まえのおさから、ふくりーだーにえらばれていたみたいだけど、いまのおさは、ドスだということをゆっくりりかいしてね!!」 「…わかった」 現在の群れの長である若ドスこそ正しいのだと、擁護する若ぱちゅりーに対し、けーねは、尚も説得を続けようとした。 しかし、若ぱちゅりーを味方につけた若ドスは、もう話は終わりだという態度で、けーねを一喝した。 もはや、聞く耳を一切持たない若ドスと若ぱちゅりーに、何度となく味わった悔しさに苛まれながら、けーねは、トボトボとその場を後にした。 「ゆう…なんで、あんなゆっくりできないゆっくりが、むれのゆっくりなの、ぱちゅりー?」 けーねが去った後、若ドスは、何度となく、自分に逆らうけーねに対し、うんざりした表情で、若ぱちゅりーに愚痴を零した。 若ドスにとって、ゆっくりさせるべき対象は群れのゆっくり達だ―――正確には、けーねのような希少種を除いた群れのゆっくりなのだが。 確かに、けーねは、先代ドスに優秀な副リーダーとして仕えていた。 だが、人間に対する恐怖心のない若ドスにしてみれば、すっきりーの禁止など、先代ドスの作ったゆっくりできない古臭いルールや、おやさいのかってにはえてくる場所を独り占めするゆっくりできない人間に媚を売るけーねや、けーねを慕う希少種達も、ただの屑ゆっくりでしかなかった。 「むきゅ、しかたないわ。まえのおさから、ふくりーだーににんめいされて、むれをささえていたのだから…それに、きしょうしゅのみんなは、けーねをしたっているし」 若ぱちゅりーも、同様に、口うるさいけーねや、自分を軽く見ている―――あくまで、若ぱちゅりーにとって、そうお思い込んでいるだけなのだ―――希少種達を、敵視していた。 しかし、さすがに、群れを繁栄させた先代ドスに仕えていたゆっくりと言う事もあり、理由もなく、けーねを永遠にゆっくりさせる訳もいかなかった。 「でも、むれのおさは、ドスなんだよ!!それに、にんげんさんに、こびをうるゆっくりなんて、ゆっくりできないよ!!ドスは、ゆっくりは、にんげんさんよりえらいんだよ!!どうして、にんげんさんなんかに、あたまをさげなきゃいけないの!!」 「むきゅ…おちついて、ドス。でも、あのけーねを、どうにかしないと、けいかくにししょうがでるわね…」 「ゆう…なにかりゆうをつけて、せいっさいできればいいんだけど…」 忌々しいけーねの存在に、癇癪を起こす若ドスを、若ぱちゅりーは静かに宥めた。 だが、若ドスの言うとおり、若ぱちゅりーの進める計画の障害となるけーねは、何としても排除しなければならない。 若ドスと若ぱちゅりーは、どうしたらいいかわからず、餡子脳をフル活用させながら、頭を悩ませた 「ふうん…なるほどねぇ」 ―――まりさの帽子を被った見知らぬ、一匹のゆっくりが、若ドスと若ぱちゅりーの会話をつぶさに、聞いていた事にも気付かないで。 一方、アストロン・シザーズのメンバーは、村のはずれに建てた仮設拠点地にて、それぞれの情報収集の成果を報告していた。 「なるほど…群れのゆっくり達は、若ドスに従う普通種の派閥とけーねに従う希少種の派閥に分かれて、別々に住んでいるという訳ですね」 「そうですね。隣山に住むゆっくり達の話では、先代ドスが群れを治めていたころは、村とも、どうにか共存していたらしいのですが…若ドスが、群れの長になってから少々事情が違ってきたようです」 ぬえ達と、隣山のゆっくりから、ドスの群れに関する情報収集を行っていた軍師は、将軍に相槌を打ちながら、説明を続けた。 その優秀さとゆっくり柄から、希少種や村の人間からも慕われていた先代ドスだった。 しかし、先代ドスの死後、その後継者となった若ドスは、ゆっくりたちに慕われるような、極めてドスらしいドスだった。 一応、協定を結んでいた為、畑荒らしなどの問題行動は取っていなかったが、たびたび、無計画なすっきりーのし過ぎにより、ゆん口増加による食料不足を招き、たびたび、若ドスは、まるで助けるのが当然という態度で、村に援助を求めていた。 村の人間は先代ドスの恩もあるので、黙認していたようだが、副リーダーであるけーねも、若ドスのこうした行動を度々諌めていた。 これに対し、若ドスは、住処が手狭になったという名目で、けーねたち希少種を群れの住処から、大分離れた場所に追い出し、新たに、けーねと共に先代ドスを支えたぱちゅりーの子で、自称:もりのだいけんじゃである若ぱちゅりーを副リーダーに任命したのだ。 「聞いた話、五月蝿い目付役の厄介払いだね。それに、私の見た感じじゃ、若ドスは、人間を舐めきっているみたい」 「でしょうね。最近、ドスになったようですから。ああいう手合いは、総じて、身の程と言うモノを知らないものですよ、ココココ」 若ドスについての感想を語るぬえに対し、将軍も、これまでの経験から、若ドスの性格について―――ゆっくり至上主義の、典型的な無能ドスと判断していた。 とはいえ、それだけで、この若ドスを、ゆん災指定するには、まだ足りなかった。 「それで、将軍?これから、どうするのです?」 「奴らが、この村の畑を荒らしたという明確な証拠がなければ、動く事はできぬぞ」 「村の人たちにだって、保護指定地域のゆっくり達が、無実ということを証明する必要もありますし」 しょう、ひじり、なずりーんの言うとおり、若ドスの、群れのゆっくり達が、どうやって、距離の離れた村の畑にやってきたのかが、分からず、証拠もないため、先代ドスの恩義による村人達の反対もある以上、駆除に踏み切るには、まだ不十分だった。 それに、保護指定地域のゆっくり達の無実も証明しなければ、村人達は納得しないだろうし、今日みたいな暴動がまた起きないとも限らない。 「一応、荒らされた畑家と隣山の周辺地図を見て、畑荒らしの方法については、ある程度見当は付いています。とはいえ、ゆん災指定をするためには、現行犯で、しかも、村人達の同意を得なければ、意味がありません」 「んふぅ…なら、最初は、厄介物の排除ですね。ぬえさん…二つ頼まれてくれませんかねぇ」 ゆん災指定の為に、ゆっくり達を現行犯で捕まえる事と、村人達の同意を得る事―――難しい二つの問題を、軍師は提示した。 将軍の方も、それを心得ているのか、正攻法ではなく、絡め手による解決を提案した。 その為には、まず、ぬえにやってもらわなければならない事があった。 「あたしの出番だね?で、どうするんだい?」 「あなたには、隣山の群れに潜り込んで、群れの中に、二つの噂を流してほしいのですよぉ。まず―――」 自分達の出番と知り、身を乗り出すぬえに対し、将軍は若ドスを陥れる為の罠を仕掛けんと、その下準備の指示を出した。 ―――鋼鉄さえ斬り裂く鋏は、その刃を研ぐのだった。 by職あき